ぼそっと呟くと、響と目が合った。


「どうしてだ?」

「どうしてって…」


またため息をつく。


「こればっかりは、本人達じゃなきゃ分からないでしょ。
北宮知也の本心を見抜くって言っても、話しただけじゃ無理だしさ」

「そうだな…」


響はポケットに手を突っ込み、辺りを見回した。


相変わらず沈黙の続く政人と知也。

少し先のテーブルにはにこやかに話す北宮和也。


香恵がスープを係から受け取っているのも見えた。

スープを持ったままドリンクバーへと向かう。

ついでに飲み物も持っていく気らしい。


気が利く娘だ。


親父臭いことを考えていると、1人の男と目が合った。

そいつは響に気が付くと、慣れた様子で、ウインクをしてきた。

ピタッと表情が固まる。


「…自分の年齢考えろよ……50代後半のクソ親父」

「なんか、イライラしてる?」


響の表情を読み取り晶が尋ねてきた。

あわてて我に返ると、何でもない、と一言返した。



「お待たせしました。お父様」


香恵がお盆に、おしゃれなマグカップに入ったコーンスープといくつかの飲み物を乗せてやって来た。