「どう思う?」
「どうもこうも…ねぇ」
苦笑いすることしかできない。
高校生の低レベルな喧嘩でもあそこまで言うだろうか?
そう考えた晶だったが、すぐに考えを改めた。
“喧嘩するのはバカだからあそこまで考えてものを言わない”
そんなひどいことを考えながら、再び政人と知也を見た。
敵の息子と愛する娘の恋愛。
父親としては許したくない、認められないものなんだろう。
よほど知也の父親である、北宮和也を嫌っているのか、あるいは、娘が騙されていると考え後々傷つくことを恐れているのか……。
どちらの可能性も考えられる。
晶は大きなため息を吐いた。
人間の考えを推測するのは難しい。
“考え”が“行動”や“言葉”という形で示されないかぎり、本当のことはわからない。
政人の知也に対する“言葉”は娘との交際を止めさせる為だと言うのは間違いない。
だが、それに至るまでの心情及び現在の心情は本人にしかわからない。
それを推測して真実を見つけるのが探偵なのだが…。
「これはあたし役に立てないな……」