「2年…いや、3年くらい前だったかな?

課長の奥さんが昼休みに忘れ物を届けるためにオフィスを訪ねた時、高畑さんがポツンと1人でお弁当を食べていたって」

「えーっ」

「私、その翌日に課長に呼び出されてね、“高畑のことをいじめてるのか?”って問いつめられちゃったんだから。

どうやら、奥さんが1人でお弁当を食べていることを心配したみたいで」

「ある意味、そう思われても仕方がないかも」

そんなエピソードがあったのか…。

2人の話を食べながら聞いていた俺は、そんなことを思った。

「えっと、嫌っているって言う訳じゃないですよ?」

俺の存在を思い出したと言うように、大橋が言った。

「私たちも高畑さんと仲良くしたいと思っているんですけど、彼女が私たちのことを避けている訳でして…」

そう言った平野に、
「でも、何で私たちのことを避けているんだろうね?

悪いことをした覚えなんてないのに…」

大橋がそう返事をしたその時だった。