「み、見ていたって…」

お父さん、他にやることがなかったんですか?

そっちの世界はどうなのかはよくわからないけれど、ヒマなんですか?

「まひるは向きあって、それによって人と関わることができたから、たくさんの人と仲良くなれた。

それは、支社長にも言えることなんじゃないか?」

「えっ…?」

支社長にも言えることって、それはどう言う意味なのだろうか?

「自分から身を引いたって言っているけれど、それはただ単に逃げているだけなんじゃないのかなってお父さんは思うんだ。

まひるは支社長と向きあう以前に、支社長の前から姿を消したんだ」

「そんな…」

「自分は間違ったことをしたと、そう思っているんだろ?」

そう言って顔を覗き込んできたお父さんに、わたしはすぐに返事をすることができなかった。