高畑まひるのバイトが終わったのは、日づけが変わった午前1時だった。

疲れ切った様子でバックヤードから出てきた高畑まひるの姿を確認すると、俺は車を降りて彼女の後を追った。

昼は会社で夜はバイトで働いていたから、疲れるのは当然のことだろうな。

理由はどうであれ、副業は禁止であることには変わりはない。

「高畑まひる」

後ろから名前を呼ぶと、彼女はピタリと足を止めた。

恐る恐ると言った様子で俺の方へと振り向いた彼女に、
「現行犯だ」

俺は言った。

「し、支社長!?」

俺の顔を見た高畑まひるは悲鳴のような声をあげた。

「ひ、人違いです!」

「往生際が悪いぞ」

そう言って逃げようとした彼女の首根っこを俺はつかんだ。

何が人違いだ。