会社は副業禁止である。

それなのに、どうして彼女はファミレスで働いているのだろうか?

まさか、規則を知らないとか?

…いや、そんな訳はないな。

このことをおじさんに報告して重役会議にかけてもらおうかと思ったけれど、やめた。

もしかしたら、本当に規則を知らなかったと言う可能性がある。

まずは俺の方から注意をして、それでも守らないようだったら社長であるおじに報告をして重役会議にかけて処分を決めてもらえばいい。

「ありがとう、覚えたよ」

俺は名簿を閉じると、おじさんに渡した。

「覚えるの早いね、さすが次期社長候補」

おじさんは嬉しそうに言って笑ったけれど、
「でも、会社を継ぐのは別に凱じゃなくてもいいんだけどね。

僕としては3人兄弟のうちの誰かが会社を継いでくれればいいんだけどね」
と、言ったのだった。