支社長にとって、わたしはどう言う存在なのか全くと言っていいほどにわからない。

ただの部下?

それとも、同居人?

わたしは支社長の何なのですか?

「支社長、手を離してください…」

呟くようにそう言ったわたしに、
「この手を離したら、お前はどこに行くんだ?

俺から逃げることは確かだろう?」

支社長が言い返した。

好きな人に見つめられて、好きな人に触れられて嬉しいと思っている。

でも、
「支社長の気持ちがわからないんです」

わたしは言い返した。

これ以上支社長に見つめられて、支社長の手を感じてしまったら、わたしは間違いなく自分の気持ちを彼に伝えてしまう。

「未来も約束もいらないって、何なのですか?

わたしは支社長にとって、どう言う存在なんですか?

どうして、わたしを離したくないんですか?」

そう言ったわたしに、支社長の瞳が揺れたのがわかった。