ピンク色の箱には、いちごとチョコレートのイラストがあった。

お菓子であることは確かである。

「チョコレート」

支社長が言った。

「わたしにですか?」

人差し指で自分を指差したわたしに、
「他に誰がいるって言うんだよ」

支社長が言い返した。

ごもっともである。

「…今日って、バレンタインデーでしたっけ?」

そう聞いたわたしに、
「食堂で昼飯を食べただろ?」

支社長が聞き返してきた。

「…食べましたね」

それに対して、わたしは返事をした。

「この間の飲み会にも参加しただろ?」

「…しましたね」

「そのおかげで、仲良くなれた人はいただろ?」

「…いましたね」

支社長は何が言いたいのだろう?