『ちょっ…!』



プープープー…



鳴り止まない規則的な音は、あたしに現実を見させる。



『なんで智なんか…』



知らない内にメールマークが付いている。



[受信:亮]
本文:やだ。家、来て。



やだ。って何…。



もう知らないよ。



なんなのよ。



亮なんか嫌い…。



[受信:亮]
本文:ねえってば。



[受信:亮]
本文:やっぱ、だめ…?



いいよ、もう。



あたしが拒んだら、泪目にして怒るんでしょ。



あたしの辛さも知らないで。



あたしは亮を失いたくない。



だって誰より私を理解してくれるから。



でも…今回だけは私少し怒ってみよう。



いつも笑って許しちゃうから。



[送信:亮]
本文:分かったよ。今から向かうよ。



ただただ歩く。



このまま歩き続けたらどうなるんだろう。



ずっとずっと、歩き続けてみたい。



ピーンポーン



亮の家のチャイムを鳴らす。



甲高い亮の家のチャイムは、いつもならウキウキするはずが、今となるとただ頭に響くだけだ。



「はいはい♪」



亮だ。



何事も無かったような話し方。


でも私と目があった瞬間、不機嫌になり目を反らす。



何よ。



自分で呼んどいて。





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