お母さんは、“でも…”と言い、こう付け足した。



「亮はお父さんの子。あなたは…あたしをレイプした奴らのどれかの子。」



“そんな…”



そう言おうとして、飲み込んだ。



あたしは優しく無いよ。



だからたくさんお母さんを責めてやりたい。



でも何でだろう。



今、あたしはどんな一言も出なくて、ただ一つ、出たのは止まらない涙だった。



あたしが泣くのと比例するようにお母さんの目からも涙が零れた。



お母さん、綺麗だよ。



汚れてなんか無い。



あたしがもしお母さんとおんなじくなったなら、二人の子供なんか産めないよ?



だから、お母さんには感謝してます。



たった一つの大切な物を教えてくれてありがとう。



あたしのお母さんはあなただけだね。



だから、あなたの娘もあたしだけなんだよ。



あたしは、



『ありがとう』



そう一言呟いて、真っ赤な目で細い弧を作った。



お母さんも同じ、目をしていた。





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