『ありがとう』



そう言って笑って見せれば、母からもうっすら笑顔が見える。



母は、愛情表現がへたくそだから、あたしにはこうやってしか愛情をくれないんだ。



でも、あたしもお父さんと弟が居ないのが寂しいように、お母さんだって同じだと思うの。



愛し合って結婚した相手と、その相手の間に出来た子供を一度に失したんだから。



あたしの机の上を眺める母の目の色が変わったようにあたしは見えた。



一枚の…写真を見て。



「那柚、この子誰よ」



亮を指さしてガタガタ震える母。



『同級生。友達だよ…』



お母さんはもっとビックリしながらあたしにいった。



「亮?亮って言うの…?」



あたしはビックリした。



だってあたしはお母さん亮の話をしたことなんてないんだから。





_