☆涙の後で



『亮〜この資料、これでいいんだっけ?』



あたしは、資料をとじる仕事をすごい自然な流れで亮に手伝ってもらう事に成功した。



「だーかーらっ」



“違う違うっ”と少し眉間にシワを寄せながらあたしがまとめた資料をやり直す。



「いい?那柚、これは―」



亮があたしに10回目の説明をしている時、あたしは夢の中に行ってたみたい。



―ちゅっ



って、あたしの唇に柔らかいモノが当たったけど



あたしは許すから。



亮、あなたは最初で最後の



“キス”



をしてくれました。



亮が考えてしてくれた事だもん。



あたしは今回だけ、幸せな気分に浸るね…



「…ゆっ―なゆ!!」



あたしを何回も呼ぶ声でやっと起きた。



『んー…ふああ〜』



大きな欠伸をしてから、周りを見渡せば、あんなにバラバラだった資料が綺麗に束にされていた。



『亮っ!!…ごめん…なさい…』



怒られるかな〜って思ったから若干の上目遣いで。





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