「れいなね、その人を本屋で見たの。」



『へ〜そう、なんだ』



上手く笑顔を作れないまま、ぎこちない会話が続く。



玲奈も、こちらの様子を伺いながら優李の話を続けた。



「んで、れいなさ、何してるのかなって高木さんの居る場所にそれとなく寄っていったの〜」



うん、という相づちもそこそこに、この玲奈の話を食い入るように聞いていた。



「そしたら、何読んでいたと思う?」



「何何?」



あたしの返答は驚くくらいに早かったと、我ながら思った。



自分で思うくらいだもん、玲奈はもっと目を丸くしてビックリしてた。



だって、早く続きが聞きたかったんだもん。



「早いなあ―」



「いいから玲奈、早くして!!」



「分かったから!!
高木さんは、少し単行本を見てから、急ぎ気味で雑誌売り場に行ったの。れいな、気になっちゃってね、悪いな、とは思いつつ高木さんが買って行った雑誌を見てみたのね。表紙は特に何の変哲もない男の子のファッション雑誌で、なあーんだって思いながら、暇だしって思ったから中をペラペラめくってみてたの。そしたられいな、ビックリしちゃってね、」



少し興奮気味に話す玲奈は、あたしまでも興奮しちゃうみたいで、すごいワクワクしながら聞いた。



「何だったと思う?あんね、高木さんがその雑誌にモデルとして載ってたんだっ!!」



「嘘…」



あたしは、今すぐ買いに行かなきゃって思ったんだけど、もう職員室だ。



終わったら早く買いに行こうかな。



早く行かなきゃ、だって優李が載ってるんだもん!!



みんな、欲しくなるもんね。





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