☆からっぽ



放課後、渋々職員室へ向かう。あたし、何にもしてないってば。



あからさまにしけた表情をして、鞄を準備した。



「那ー柚っ」



玲奈が委員会で使うのであろうファイル二冊と、クリップで留められた山積みの資料をフラフラしながら運んでいた。



『玲奈大丈夫かあ〜??あたし手伝うねっ』



「ありがと!!頼んだね!!」



『…う…うん』



玲奈の手には、ファイル二冊。
あたしの手には、大量の資料。



『普通逆じゃね!?』



あははーと玲奈は笑いながら話を切り替えた。



あたしの手には大量の資料がそのまま残ってるし。



まあいっか



「ねえ、那柚」



ん?と返事をしながら落ちそうになった一束の資料をあごでそろえ直す。



「三年の優李って人、知ってる…?」



『三年の…』



“優李”って名前が出た途端、あたしの中の何かが熱くなった。





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