「な…ゆ…?」



眉を下げ、心配そうにこちらを見つめる。



亮の気持ちは分かるよ。



そりゃあ、彼女がキスをしたとたん泣き出したらどう思う?



あたしなら、俺の事嫌いなのかな、って心配になるよ。



当然だよね。



でももしー。



彼女の好きな人が自分じゃなかったらー。



もし、彼女の好きな人を知ってしまったらー。



どうなるんだろう。



きっと、亮は気づいてる。



あたしが亮を好きじゃ無いって事。



そして、他の誰かが好きだって事。



仲良しだからこそ、そいつに行ってやれって背中を押してほしい。



優しく見守っててほしい。



そんなんは、あたしのワガママですか?



重い沈黙の中、あたしは歩き始める。



塾に向かう訳でもなく、ただてくてくと。





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