☆全ての始まり



ある昼下がりの交差点。



買い物に来て用を済ませたあたしはイライラしながら信号が青になるのを待っていた。



あたしがイライラしている理由はここの長い信号のせいでもあるのだが、最もイライラを直に痛め付ける“今日の出来事”があった。



あれは、学校での昼休み。



「那柚―!」



あたしがこのクラスで、初めて可愛い男子だと思った人が、こちらに駆け寄ってくる。



『どうしたの、亮。』



いたって普通に答えるが、やはり亮を可愛いと思ってしまうあたし。



下手すれば、そこらへんの女子なんかに負けないくらい可愛いんじゃないかと思う。



「さっきね、あのね、」



一生懸命さっきあった出来事をあたしに話そうとするのだが、国語が弱い亮はなかなかその場の状況を上手く説明できず、アタフタしていた。



しまいには、



「分かるでしょ?あれだよ、分かってよ!」



なんて言い出す始末。



“あれ”なんかじゃちっとも伝わらないってば。





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