『ヒャッ!』



太ももに亮の細く綺麗な指が滑り落ちる。



それが、だんだんと上へ、上へ、と進んでくる。



―パンッ…



亮のシンプルな部屋に乾いた音が響く。



「った…」



案の定亮はそれ以上何もせずにただただ俯いていた。



『何のつもり?』



上手く回らない頭の中を“亮とのキス”が駆け巡る。



「…っ…ぐすん」



―ぐすん?



亮、なんであんたが泣くの。



泣きたいのはあたし。



あたしが今まで亮に抱いてきた信頼はどうしたらいいの?



この、裏切られたっていう気持ちはどうやって和らげたらいいの?





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