さっき“麗美”は裏切ったって言ってたけど……。
多分この人達が言う“麗美”は私だ。
だってこの学校に通ってたらしいし。
それに南先生は私の名前を隠した。
彼らが指す“麗美”が私じゃなければ名前を隠す必要だってない筈だし…ね?
自分の仮説が正しいか確かめる為にも聞く必要はあると思うんだよね
『ねぇ…』
「なーに?」
秋樹が可愛く返事をする
『…麗美って言う人と私ってそんなに似てるの…?』
「………似てる。」
あんまり喋らない…えっと…あ、冬樹が言う
「髪の色と目の色が違うぐらいだよね」
『ふーん』
「どうしてそんな事聞くの?」
探るような風磨の視線が突き刺さる
『皆が私を見るとさ、必ず麗美って言うからそんなに似てるのかなって思ってね』
「そっか」
なんとか誤魔化せたかな?
まさか、その“麗美”が記憶喪失だとは思わないだろうし…
それからは、皆放課後を知らせるチャイムがなるまで一緒にいた
「ねーね!麗ちゃんも一緒にこれから倉庫行かない!?」
元気一杯の秋樹私に向けて言う
『倉庫…?』
倉庫……?
ずきっ
『……っ…』
頭が割れるように一瞬痛くなってふらっとする
「おいっ」
時雨が倒れそうになった私を支える
『…っ…ありがと…』
まだズキズキする頭を抑えて時雨から離れる
「大丈夫か?」
心配そうに私を覗き込む時雨
『……うん、大丈夫…』
「…そうか…?」
『…うん。でも今日は、帰るね』
それだけ言って屋上から出る
“倉庫”
『っ…』
思い返しても頭が割れるように痛い
バランスを崩して階段から落ちるっ!って思った時には温もりに包まれてそのまま意識を手放した
速斗side
散歩にでも行こうかな?
なんて言っても麗美が心配で麗美を探しに行くだけだけどな。
でも、今の時間は放課後を知らせるチャイムが鳴ったぐらいの時間
まだ麗美が学校に居るかも微妙なんだよなぁ
取り敢えず行ってみるか。
アイツ屋上昔から好きだったよななんてぼんやり考えながら屋上まで続く階段を登る
4、5段登ったところで麗美が見えた
声をかけようと言葉を繋げようとしたがそれが続く事はなかった
ぐらっと傾いた麗美の体
危ない!と思った時には俺の体はもう動いていて麗美の体を受け止めていた
『はぁ。良かった…』
そのまま理事長室に麗美を運ぶ
仮眠をするために備え付けたベットに寝かせ麗美を見ていた
『麗美…』
寝ている麗美の髪を撫でる
くすぐったいのか身をよじる麗美
その行動全てが可愛くてしょうがない
コンコン
そんな音がして理事長室の扉が開いた
俺が返事してないのに開けるやつは絶対にアイツしかいない
『弥生。静かに入れよ』
思った通りの人物が入ってきてそう言う
「え?なんで?」
まだ弥生の居る位置からは見えないのか不思議そうに聞いてくる
どんどん弥生が近づいてきてやっと理解したらしい
「麗美…なんかあったの?」
『わからない。階段から麗美が降ってきた。』
「え?!ど、どういう事よ??」
『フラついててさ。そのまま階段から落ちたのを受け止めた』
「あ、あぁ。そう言う事。また、あの時みたいにイジメられてるのかと思った…」
『……イジメ…?』
「え?あ…」
『説明してもらおうじゃねぇか?弥生。』
「…わかったわよ。」
椅子に座った弥生が少し前にあった事を話し始めた
「麗美はさ、白龍に姫として入ってたでしょ?」
『あぁ。』
「けど、辞めさせられた。そこまでは知ってるでしょ?」
『…知ってる』
…あの時は白龍の奴ら全員八つ裂きにでもしてやろうかと本気で思ったっけ?
麗美に絶対やめて。って言われたからやんなかったけど。
「…。麗美は影でずっとイジメられてた。
姫だった時は妬みで。辞めたら今度は現姫をイジメたとレッテルを貼られて…。
どんどんイジメはエスカレートしていった。
姫を辞めた後はとくに酷かったらしいわ
私、何回も麗美に速斗に言ってみろって言ったんだけどさ、麗美は大丈夫って言って聞かなくて…。
それどころか速斗に言う時は自分で言うから絶対に言うなって言われちゃって…。」
『…なんで…。』
どうして…俺にはなんにも言ってくれなかったんだ…?
「私もこれ知ったの麗美が姫辞めてから半年経ってからなの。」
それって結構最近…
『…そうか』
「麗美が言わないってわかってたんだからもっと早く言うべきだったわね…。」
『…そうしてほしかった。』
「…ごめん」
『でも、いい。麗美はちゃんとここに居るから。』
「…そうね」
麗美の髪を梳くように撫でる
「速斗は相変わらずね?」
髪を梳いていた手をピタッと止めた
『…なにが…』
大体わかるけどな。コイツとの付き合いは無駄に長いから
「好きな子よ。好きな子!」
わざわざ2回も言った弥生にイラッとするが否定は出来ない
「あの時はまさか速斗が好きなんてねぇ?って思ったけどさ。納得かも。」
『え?』
「ふふ。そのうちわかるかもね?」
なんなんだよ?変なやつ
「(すっごく愛おしそうに撫でちゃって、ふふ)」
弥生がそんな事を思っていたなんて知る由もない俺だった