昔の健は、すごく大人しくて泣き虫だった。弱くて女の子みたいな見た目。



そのせいでよく男の子たちにいじめられていた。



「お前女みたい!」


「やーい弱虫!」


「お前いつも泣いてるじゃん!」


『ちょっと・・・!健をいじめないで!!』


「うわ、春川だ!なんだよお前、やんのか!」



健を守るために私は喧嘩もしてた。それを止めようと健はしてたけど、私はいつもやめなかった。


『健、大丈夫?もう安心だからね!』


「・・・ありがとう、蛍ちゃん」


私の記憶の中の健はいつも泣いていた。

だから私はそんな健を守ろうと、必死に強くなった・・・はずなのに。




健はどんどん成長していき、いつの間にか私は背を抜かされてしまった。
最初は差も小さかったけど、今では17センチ
の差がある。



すごく複雑だった。けど、まあ男だしこんなもんなのかな、って思ってた。



そうは思うけど、今まで男女の意識はしてなかった。




今まで意識してなかった分、余計に動揺が激しい。



健相手にこんな気分は初めてで、どこかモヤモヤした。