「それで、今朝電話した時に一緒に居たってことはお泊まりよね?」

そう、ワクワクと聞いてくるお母様。

そういう感じの時はきゃぴきゃぴとして可愛らしい。


「昨日一緒に出掛けていて、洋子を家まで送った所で洋子の住まいが火事になっていて。とても帰れる状況では無かったので僕の所に連れて帰ったんだ。これからは一緒に住むつもりだよ。」

「それは大変だったね。出掛けていたのは不幸中の幸いだな。君は無事で居られたのだから。」

そう労りの目で言ってくれるお父様


「そうよね、家に居たら火事に巻き込まれていたかもしれないのだから。良かったわ。」

お母様もお父様に同意している。

「ありがとうございます。」
深くお辞儀する。

「それで、もういっそこのまま一緒に暮らしたいと思ってて今日は洋子の服や家具なんかの必要な物を買うつもりだったんだ。大学に必要な物も燃えてしまったからね。」

そう話す守さんに

「洋子さんはまだ学生さんなんだね。何を学んでいるんだい?」

「私は家政学部の被服学科の3回生です。」

そう答えると

「まぁ、そうなのね。それじゃあ裁縫道具や生地なんかみんなダメになっちゃったわね。」

「はい・・・。」

そう、今期は始まったばかりだけど裁断したばかりの布や引いたばかりの型紙やらいろいろが燃えてしまったのだ。

「守、ちゃんと困らないように洋子ちゃんに必要な物をしっかり揃えてあげるのよ。」

そうビシッと言うお母様に驚いてしまう


「いいえ、そこまで守さんに甘える訳にはいきませんから、何とか揃えます。」


そう断ると


「洋子、そんな遠慮しなくていいんだ。洋子が困って苦労するのなんて見ていられないんだから、気にせず甘えなさい。」

有無を言わさぬ口調で守さんが言う。