サロンと呼ばれる部屋に入るとそこはガラス張りの庭に面した暖かな日差しの降り注ぐお部屋だった。

そこのソファーセットに守さんの30年後って感じの穏やかな紳士が居る。


「帰ってきたか、守。」

そう声を掛けてきた男性は守さんにそっくりだった。

「えぇ、朝から母さんの電話で急遽こちらにお邪魔することになりましたよ。」

そうサクッと返す守さんに

「お前に彼女が出来たと知れば志保が動くのは仕方なかろう。早く可愛い嫁を、貰え!私に可愛い娘を!って散々言い続けられてただろう?」
クスッと笑って言うのはやはり、間違いなく守さんのお父さんで細井製菓の会長、細井聡会長だ。

社内報で写真を見たので覚えていた。


「さ、まずは座りなさい。」

そう声を掛けられ私と守さんは御両親の前のソファーに座った。


そこに先程の森谷さんがお茶と茶菓子を運んでくる。

テーブルにそれらが置かれると

「さて、お嬢さんが守の大切な相手かな?」

「えっと・・・」
守さんの顔を見ると

「えぇ、父さん母さん。こちらが僕の大切な人秋野洋子さんです。」

「秋野洋子と申します。」
そう言って頭を下げた。


「ふふ、可愛らしいお嬢さんね。」
「うん、そうだな。」

ニコニコとこちらを見て微笑んでくれる守さんの御両親は守さん同様温かな雰囲気の御両親だった。