下宿先に戻って5分も経たないうちに守さんの車が下宿先の前に止まった。


やっぱり時間より早く来た。

何となくそんな気がしていた。

この間のランチのあと連絡先を交換して今日まで毎日メールのやり取りをしていた。
そのやり取りでやはり、仕事はできるし、思いやりもあり真面目で優しい人柄を感じていた。


そしてそのやりとりの中で、社長じゃなくて名前で呼んでくれと言われて守さんと呼ばせてもらうことになった。


「こんにちは、洋子ちゃん。今日はまたすごく可愛いね。いつも可愛いけど、より可愛くなった洋子ちゃんと出掛けられるなんて嬉しいよ。さ、乗って。」

そうして、助手席ドアを開けてくれたので車に乗り込む。

セダンタイプの車は誰でもわかる有名な海外の自動車会社の車。

革張りのシートは高級感に溢れてるし乗り心地もとても良かった。

「今日はドライブしながら海沿いの水族館に行くんで良いんだよね?」

「はい、お願いします。」


そうして出発した車内では私の学校の話や桜さんや慎吾くんの話をして過ごす。

「慎吾くんって洋子ちゃんとそんなに仲がいいのか。妬けるな。」

そう言う守さんの表情は少し硬い。

「あ、でも慎吾くんにとって私は妹みたいなものだし。私からしても慎吾くんはお姉ちゃんみたいな感じなんです。」


そう言うと驚いた表情をしている

「そういえば言ってなかったですね!慎吾くんはいわゆるおネエ系なんです。美容師さんなんですけどトータルコーディネートがしたいって夜間の被服学科に通ってて昼間はオーナーとして美容院経営するある意味社長さん?なんですよ。」


「そうか、じゃあ洋子ちゃんは可愛い妹って感じなんだね。」

安堵の表情で言う守さんに

「はい、そうですよ!今日もそんな妹の初デートにチャチャを入れつつ世話を焼く姉って感じでしたし」


ニッコリ答えた。