そうしてメイクが終わると髪をいじり始めた。

いつもポニーテールにしかしない私の髪をコテでクルクル巻いていく。

巻かれた髪はふんわりとした可愛い巻き髪になって肩に落ちていく。


「本当に元が良いのに全然普段構わないんだから。ま、そんな洋子ちゃんをいじって変身させるのが私の楽しみなんだけど!」

そう、言いながらその手はやはり止まらず器用にクルクルと私の髪をコテで巻いていき、巻き終わると崩れないようにスタイルキープの整髪料を使ってセットしている。


「はい、完成!」

パチンという音がすると髪に可愛いバレッタが着いている。

「慎吾くん、これ!」

「うん、ゆるふわ系のハーフアップスタイル。似合ってるわよ!」


バチっとウィンクしてくる慎吾くん。


慎吾くんも外見はかなりのイケメンなんだけど、残念ながらおネエ様なのよね。
外見につられて寄ってきた女の人がこの口調を聞くと波のように引いていくのだ。

勿体ない。

女子力高い素敵な人だと言うのに。


「さて、そろそろ時間ね!社長様待たせる位でいいと思うけど洋子ちゃんの性格だと早めに着いてたいもんね?」

もう、3年も友達してるとお互い行動パターンや性格は読めてくる。


確かに私は待ち合わせは10分前にはその場に到着していたい質だ。


「うん。慎吾くんありがとう!行ってくるね!」


「ふふ、頑張んなさーい」

そうして、ヘアメイクしてもらった私はまた1度下宿先に戻った。