〜ノコギリの音〜

「あぁ〜疲れた〜」
そう言って狭い部屋の中俺は座布団に座った

カチャッ
ビルールを開け
コップに注ぐ

「あぁ〜クソ上司まじうぜー」
俺の名前は 中山 篤(なかやま あつし)25歳
社会で働きこき使われるサラリーマンだ。
当時大学生だった俺は成績も普通だし
特にやりたい事もなく、結構サラリーマン
そのせいで毎日俺は上司からいいようにこき使われ毎日怒鳴られる日々をおくっている。

俺の住むボロアパートは
築50年 いつ壊れてもおかしくない状態だ
家賃は激安だったし、駅からも近いんでこの物件に住む事にした。

俺が住み始めて1ヶ月は経つ
そんなある日…

真夜中の2時頃に…

ガリ、ゴリ、ガリ、ゴリ、…

ガリ、ガリ、ゴリ、ゴリ…

ノコギリで何かを切っている音が聞こえたきた。

毎日が忙しい俺にのっては迷惑極まりない

ガリ、ガリ、ゴリ、ゴリ

篤「チッ、何だよ明日仕事だってのにさ」

ガリ、ゴリ、ガリ、ゴリ…

その音はその日から
毎日聞くようになった。
そして、なぜか必ず2時頃からノコギリの音が
上から聞こえたきた。

最初は我慢していた

だが次の日、また次の日とノコギリの音が
止む事は無かった。

流石にしびれを切らした俺は
上に文句を言いに行く事にした。

引越して来てまだ1ヶ月しか経っていないが
このボロアパートの住民は下の階の住民以外見ていない。

始めて上に行くんで俺は少し緊張していた。
だが、文句を言う!

部屋着のまま俺は外に出て上の階へと続く階段を登った。

ギシ…タン、タン、タン…ミシ…
階段が古いのか錆びた階段を登る度に
ギシミシと音をたてる

すぐに階段を登りきった俺は左に真っ直ぐと続く道を歩いた
俺は102号室に住んでいて一番奥の左から2番目の所だ。

すぐに一番奥の左から2番目の部屋の方へと向かった

部屋の前へと立つと緊張と共に何か不安になった。

その時、部屋の前からノコギリの音が聞こえたきた。

ガリ、ガリ、ゴリ、ゴリ

ゴリ、ゴリ、ガリ、ガリ、…

ある予感が頭によぎった

なぜ、真夜中の2時頃にノコギリで切る必要があるのか…

何か嫌な予感がした俺はとっさに
階段の方へと走り下へ降りた。

そして、全速力で近くの公園へと逃げた
はぁ、はぁ、はぁ、...

公園に逃げ込み足を止めた
はぁっ...はぁっ...
心臓が激しく鳴っていた
冷汗もダラダラと流し俺は焦りと恐怖にかられた。

どうする、警察に連絡するか。
いや、携帯を部屋に置きっぱなしだ、
交番を探すか、それとも朝までここで野宿するか。

とにかく、一休みしたかった俺は
近くのベンチに腰をおろし一息ついた

はぁ…もしただの勘違いだったら。
もしかしたら夜にしかノコギリを使う時間がないとか?
いや、それはないか。

ため息をついていると…

ズズズッ、ズズズッ、ズズッ、

何かを引きずるような音が近くから
聞こえたきた。

ズズズッ、ズズッ、

それは、次第に俺のいる公園の方へと近付いてくる。

ズズズッ、ズズズッ、

篤「…」

俺は黙ってベンチに座った
その時俺はどうしても、確かめたかった
本当はただの勘違いじゃないかと。

ズズズッ、ズズッ

そして、音は公園の左側の入口付近から次第に聞こえて来る

6m離れた所に丁度俺の目の前の公衆トイレ
からそれは見えた。

ズズズッ、ズズズッ、ズズ、

その時俺は本当の恐怖を人生で初めて味わった。

それは、右手にノコギリを持った
黒い破れた服を着た男が何か黒い袋を引きづっていた。
男が公衆トイレの前を通るその瞬間
公衆トイレの光で照らされすぐにその黒い袋が何なのか分かった。

黒い袋にはべっとりと血がついてあった
さらに破れた所からかすかに血が滲み出ていた、男の服やノコギリにも血がついていた。

ボロボロの破れた穴からは女性の指と思わしき物が袋の穴から出ていた。

その時俺はゾッとした、そのまま立ち上がらずにその男が通り過ぎるのをただ、じっと見ていた。

それ以来俺はとっさにあのボロアパートを
引っ越し実家へと帰った。

後から大家に聞いた話だが

上に住んでいる住民は居ないそうだ。

一体あれが何だったのか、未だに謎のままだ
ただ一つ分かる事は、決して関わってはいけない事ただそれだけだ。