「王様だーれだっ!!」


昼休みになると行われる王様ゲーム。 


私、葉山 由美 《ハヤマユミ》


みんな曰く、鈍感らしい…

「おっ!俺だっ♪」


「じゃぁー、17番と5番がキス!!」


ね?ちょっぴり過激でしょ? 


当たったのは私の親友、小百合《サユリ》だった。 


相手は… 


小百合が片思いしてる相手!! 

小百合が私の所に来て、 

「どーしよう…うれしいけど、恥ずかしいよぉ。」


なんて言ってる。 


小百合、可愛いすぎですから!!


「平気だよ、小百合かわいいし!行って来っておいで」


そういうと小百合は17番だった、健斗の所にいった。 


「じゃあ、いい?」


2人とも頬を赤らめている。 


あれは上手くいくなー。 

「……んっ…」  


時折漏れる小百合の声。 

っていうか、ディープ!? 

みんな唖然としてるし…


5分後、やっと離れた。 

「小百合…ちょっといい?」


そう言って、健斗は小百合を呼び出す。 


あれは告白だなー…


いつも小百合とは彼氏欲しいって騒いでたのに、それも終わりかぁ。





しんみりしていると、 


「由美、さみしいんだろ?」


「そんな事ないもん!」


勢いよく顔を上げると、司がいた。 


「へぇー?」


意味深な笑みを見せる司にムカっときた。 


「司ねぇー!……」


「葉山さん!!」


怒りの言葉を述べようとした私の声を遮った。 


だれ? 


声のした方をみると、学年一カッコいいと言われている隼人。 


「なんですか?」


私ブスだから、隼人と話てると恨まれるんだけど…


「あのさ、好きなんだよね。付き合ってくれない?」


教室の真ん中に来て告白。 

教室の中心で愛を叫ぶですか!?


「冗談止めてよ」


そう言うと、クラス全員が驚いた顔をした。 


あれ? 
なんか変なこと言った? 


「由美ってほんと鈍感…」

どこからか聞こえてくる声。 


隣にいた司までもがうなずいている。 


何この展開…!! 


あわあわしていると、遠かったはずの隼人の顔が目の前にあった。 


そして…


いきなりのキス。 


王様ゲーム当たってないのに!! 


クラス全員も唖然。 


っていうか、なんでキスされてんの? 


分かった!


隼人も王様ゲームしてるんだっ! 


「隼人も王様ゲームしてるの?」


自信満々で言ったのに…


「違う」


って一言。 


じゃあ何?




「イヤイヤ、由美。そこまでくると笑えないよ?」


クラスの女の子が冷たい一言。 


「じゃあ…何?」


半泣き状態で隼人に尋ねる。 


「だから、好きって言っただろ?」


「えっあの…本気で?」


「本気で。」


隼人は真剣な顔をしていた。 


この顔を見て、悶え死ぬ子何人いるんだろー… 


なんて考えていたら 


「…返事は?」


そっそうだ! 
返事!! 


「えーと……ごめんなさい。」


「そっか…ありがとな!」

そう言って隼人はクラスを出ていった。 


「何で断ったのー!?」


クラスの女の子から、質問攻め。 


「あぅ。なんか会わない気がしてね?」 


そう言うと納得した女の子達ってどうなの!? 


「アハハ。お前、ほんと天然だな!!」


そう言ってくるのは司。 

「天然なんかじゃないもん!!」


「お前を天然って言わなかったら、何て言うんだよ。」


そう言うと司は離れていってしまった。 


私が断ったもう1つの理由分かる? 


司が…

好きだからだよ?




次の日、小百合に昼休みの事を話すと…

爆笑された。 


「もう!そこまで笑わないでよ!!」


「だって…プッ!!」


「ひどーい!!」


プゥと膨れていると、 


「あたしね健斗と上手くいったんだ!」 


「えっほんとに?」


親友が上手くいったなんて聞くと、うれしい。 


「ほんとに。あの後、告られたんだ」


なんて話す小百合は、いつもより可愛いかった。 


「いいなぁ。」


「由美もさ!可愛いんだから、司に告りなって!!」

「可愛くないよー。」


「イヤイヤ、かわいいから!!」


必死に訴える小百合。 


社交辞令でもうれしいよ


「おーい、王様ゲームするぞー!!」


もう昼休み!? 


私と小百合は授業中も話こんでたみたい。 


だれか教えてよ―(泣


「王様だーれだっ!」


いつもの掛け声。 


いつもと違うのは、小百合が隣にいない事。 


やっぱりさみしいな。



「あっ!私だっ」


そういったのは、クラスのムードメーカーの子。 

かわいいのに、彼氏いないなんて以外なんだよね。


「じゃあ、7番と12番が抱き合う!」


わぁ!! 


7番私だ!!


だ、抱き合うなんてそんな…!! 


12番はだれだろ? 


「あっ、俺12。」


そう言ったのは…
司だった。


ついてる♪ 


じゃない!! 


恥ずかしいよー(泣


「ね、変えない?他のにしようよー(焦)」


「だーめっ!早くはやく☆」


絶対、おもしろがってるよ… 


まぁ、昨日キスされたし?こんな事で恥ずかしがるやよって思われるかもしんないけど… 


BUT。 


好きな人とは恥ずかしいものでしょ?




「いいから早くやんぞ。」

司はそう言って、私を抱きしめた。 


「おい。何分?」


「5分♪」


ご、5分〜!? 


長すぎだよ−


心臓持たないよ

クラクラ……


ヤバイ………


だから言ったのに……
(言ってない。)


ガタッ。 


私は倒れた。 


ちょっと意識があったんだけど、すぐになくなった。



んー? 


ここドコ? 


目が覚めると、見た事のない部屋にいた。 


となりを見ると…司!? 

なんで?なんで!? 


「おっ、起きたか?」


「ここドコ?」


「俺の家。」


「ご家族さまは…」


「いねぇよ?」


そう言って、不敵な笑みをこぼす。 


「ってゆうか!なんで私、司の家にいるの?」


「あー、それは…」


「なに?」


「お前倒れただろ?その後、保健室で寝かしてたんだけど起きなくてさ、そのまま置いて帰る訳にもいかねぇから。」


イヤイヤ。 


理由は分かった。だけど…

「なんで司家なの?小百合の家でもよかったのに?」

司は黙ったまま。 


…もういっか。


「じゃぁ、帰るね?ありがと。ってえっ?」


「どうした?」


「私…制服来てたよね?なんでスエット…」 


「あぁ、寝苦しそうだったから着替え……」


司はヤバイって顔をした。 

つまり……


「司が着替えさせたんだよね?」


司はうなずく。 


ほんとに最悪……


抱き合うとかして倒れちゃうし、下着姿見られただろうし……



半泣き状態で私は司を見た。 


「…ヤバイ。由美、こっち見んな。」


「えっ、なんで?私なんかした?」


されたの私だと思うんだけど…


「いや。こっちの話。」


司は意味がわからない事を言って、そっぽを向いた。




しばらく沈黙が続いた。 

「…じゃあ、私帰るね?ありがと。」 


「あ、もう12時なんだけど。泊まっていけよ。」

「えっ!?」


イヤイヤ、さすがにね? 

一人暮らしらしいし、司は男だし…


「イヤか?」


って、そんな顔で見つめないで...


OKするしかないよ…


「…うん。」


司はニコッとはにかんだ後「飯作ってくる。」と言って、部屋を出ていった。


ヤバイよね?普通に…


いくら司が私の事なんとも思ってないとしても…


私は司が好きなんだもん。