『あら、それは違うわ。「月が綺麗ですね」が「死んでもいいわ」にぴったりなのよ』


頬をふくらませて抗議すると、彼の手が伸びてきて私の頬をぷっと凹ませた。


『…が…ね』

彼が何かを言ったような気がしたけれど、声が小さくて聞こえなかった。

『ん?何か言った??』

聞き返すと彼はまた意地悪そうに笑った。


『…何でもないよ。ぷっ、ブサイク』
『あなたのせいでしょう?!』

私がびっくりしながら怒ると、彼はククッと笑った。

少し胸が痛んだ。
誰にどれだけ騒がれようと、彼の目に留まらなければ意味が無いのに。