諦めた恋だった
俺は何のために諦めたんだろう?

きっとお前はたくさん泣いたんだろう

オレは何も分かってなかったんだ
今……あの頃のオレに腹がたつ

もう泣かせない
俺が守ってやるから……
もう諦めたりなんかしない
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マルの初恋……
あれは中学の入学式。桜の木の下で、女の子が転んだ。周りのやつらは、クスクス笑って、「あんなマンガみたいにこけるのを初めて見た。」とか、言って……

「大丈夫?」って声をかけたら
「大丈夫ですよ」って、ふわりと笑って……笑顔に恋におちたんだ。次に会ったのは、同じサッカー部の友達弘人の幼なじみって、紹介された。だけど、入学式のこと……なんて覚えてなかったんだ。ま……そんなもんだよ。

いつの間にか仲良しグループが出来ていた。ヒロと奈緖と俺とサッカー部の大地と、大地が惚れてる美咲……そのうちに、彩花も加わって6人。仲はよかったけど、気づいたんだ。奈緖が大地を好きなことに……でも、大地は美咲が好きで……いつバランスが壊れてもおかしくないと感じてはいた。俺のことなんて、何とも思ってないのを分かってるから、奈緖と同じ高校じゃなくて、サッカーの強い男子校にいったのに……俺が知らない間に、奈緖がこんなに傷ついていたなんて……同じ高校にすればよかった……

俊一には、好きな子の話はしてあったから、すぐに奈緖に気づいた。余計なこと言うなよ……って、思っていた
だけど、4人でずっと遊んでいた。奈緖とこんなにいられるなんて……俊一ありがとー。

今度こそ、奈緖を守ってやるから……な




初恋の人……
忘れられない思い出の一ページ

今思いだしても甘酸っぱい

でも初恋って実らないんだね
実らないから思い出は甘酸っぱいままなのかな?

恋を教えてくれたのは……
あなたでした
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帰り道、マルに家まで送ってもらった。大地を好きってことは、彩花にしか言ってなかった。なんで好きになったのかマルに聞かれて……入学式の恋に落ちた瞬間のことを話した。だけど、次に会った時に大地は覚えていなかったことを伝えた。

なんか、マルの様子がおかしい……

恥ずかしいのは、私のほうだよ。

「まじか……入学式桜のとこでこけてた……」
「周りにも人がいたから、マルも見てた?恥ずかしいな」
「それ、大地じゃない……」
「何……言ってんの?」
「桜の下で転んだ女の子に声をかけたんだ。大丈夫?って……その時笑った笑顔に……」
「ウソ……でも、見た目が違う……」
「入学式だから、スプレーで黒髪にしてたんだ。今はコンタクトだけど、あの時はメガネだった。サッカーやってたけど、水泳もやってて、塩素で茶髪になるんだよね。」
「本当に……?」
「鞄からメガネを出して、メガネをかけた……」
あ、あの時のメガネ……
「あのね……遅いかもしれないけど、聞いてくれる?初めて会った時からずっと好きでした。」
「俺も、あの時からずっと好きだった。俺から言いたかったな……俺の彼女になってください。」
恋を教えてくれたのは、あなたでした。






まさか勘違いしてたなんて……
メガネは似合わないから
キミに見せたくなかった

もしかして
メガネかけたら何か変わってた?

本当に大好きだった
好きで好きでたまらなくて……
こんな気持ち……今まで知らなかった

やっとつかまえた
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一緒に会ってるけど、付き合ってるわけじゃない。なのに、なんで俺……こんなに傷ついてんだろう?どうして、大地なんかを好きなのか……気になっていた。そして、聞いたんだ……

奈緖の初恋の話をきいて、嬉しかった。そんな勘違いで大地なんかにとられなくてよかったー。

奈緖の告白を聞いて……嬉しかった。
やっと、恋が叶った。

俊一に伝えたら、喜んでくれた。

家に帰ってから、奈緖に電話した。
「明日は、サッカー部の練習あるから見に来ない?」
「行ってみようかな?」
「ねー、俺のこと名前で呼んで?」
「え?なんで急に?」
「呼んで……」
「渚くん……」
女みたいな名前で嫌いだった名前。だけど、名前に呼ばれて嬉しかった。
「これからは、名前で呼んで……ね」
「でも、名前で呼ばれるの嫌いじゃなかった?」
「うん、嫌いだったよ。でも、奈緖には名前で呼んでほしいんだ。奈緖は特別だから……」
言ってて、恥ずかしくなった。顔が赤くなってるのがわかる。顔見られなくてよかったなー。
「特別……嬉しいな……私に恋を教えてくれたのは、渚くんだよ。」
はぅ……ますます赤くなる。
「俺に恋を教えてくれたのは、奈緖だよ。」




つまらない……
あなたがいないから……
心に穴があいて
心が悲鳴をあげていた
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遊園地集合だったので、奈緖と行こうと思って、奈緖の家に電話をかけたら、もう出かけたって……もう出かけたんだ。急いで家を出た。遊園地に、まだ奈緖はきていなかった。そして、美咲から「奈緖とマルは来れなくなったんだってー」え?それなら、私……ここにいる意味がない。「それなら、私は帰る」って、言ったのに結局4人で遊園地……

なんかダブルデートぽい。だけど、なんで?美咲は大地と付き合ってるんじゃないの?ヒロの隣を歩く美咲。大地の機嫌が悪くなるのをひしひしと感じる。ヒロも不機嫌……早く帰りたい。奈緖達に写メ送るから、笑って……と言われ、その写メを奈緖に後で送るって……

いつもだったら、夕飯も食べる。だけど、すぐに帰ることになった。え?家が近いからって、ヒロが美咲を送るの?

「ごめん、俺、このまま別行動するわ……」
「あ……じゃー私も……」

2人を残して、歩き出した。そして、ヒロと歩いていたら、「ま……待ってよ……私も……」「お前は、大地と帰れよ……」「なんで?」「お前たち、付き合ってるんだろう?俺達、邪魔する気ないし……」

そして、楽しそうに歩く奈緖とマルを見かけた。あと知らない男の子と女の子。なんで……?4人の後をつけると、途中でわかれて、マルと奈緖が2人で帰る。何を話してるのか、聞こえなかった。だけど、途中から2人が密着する。恋人つなぎ……

奈緖の家についた。引き返してきたマルに会った。
「奈緖と付き合うことになったから……お前たちは4人で仲良くすればいい。」
「何言ってんだ……よ」
「奈緖を傷つけるお前たちのことは、許せない。もう奈緖に近づくなよ。」
「ふざけんな。俺達友達だろう?」
「これからは、俺が奈緖を守るから……じゃーな」

そして、そのまま……奈緖と会えないまま、昼休みは終わった。心が悲鳴をあげていた。

なんでこんなことになったんだろう?

オレの気持ちはどうなるの?

勝手に話が進んでいく

もう戻れない?
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遊園地の帰り道、奈緖が仲良さそうにマルと話してる。なんで?あとをつけた。

そして、マルから奈緖と付き合うことになったときいたんだ。奈緖に近づく……な?勝手に決めんな。

そして、彩花と奈緖の家にいった。そして、マルと付き合うことになったと、言われたよ。「私達にかまわず、4人で仲良くしてね……」マルと同じことを言った。

俺の気持は……?ぼーぜんとするおれ達……奈緖は、家に入ってしまった

そして、父さんがいない時は奈緖の家に預けられていたのに、それもなくなり、1人で家にいると、思い出すのは奈緖のことばかり……

奈緖に会えないまま、春休みが終わった



まだ恋愛でもない
でもこれからつきあえるって期待してた
なのに……

イヤな過去をぬりかえたかった
彼がいれば何もいらない
諦めなければ何かが変わるはず
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なんで?ヒロは、私と付き合ってくれない……の?もう一度チャンスがほしかった。でも、またうまくいかない

何度もふられ、何度も諦めようと思った。でも諦められなかった。ずっと、ひきづっていた。

奈緖が離れれば、きっと私を好きになってくれる。邪魔な奈緖がいなくなればいいのよ。ヒロがいればいい。誰に嫌われたってかまわない。

状況は刻々と変わっていく
いつまでも変わらないものなんてないんだね

あの頃の私達はこうなることなんて考えてなかった

私の心にふる雨
そして空も雨模様

絶望の暗闇の中に
光をさしたのはあなただった
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美咲から、4人で撮った写メが送られてきた。「皆で楽しかった。だから、これこらも邪魔しないで。彩花も言ってたよ。ヒロも、幼なじみだからってつきまとわれて迷惑だって言ってるよ。」

マルの練習を見に行った帰り道……
「奈緖、なんかあった?」
「え?なんで?」
「顔見たら分かるよ……」
「そっか……」
「言いたくないなら、言わなくていいから……」
「うん……」
「美咲から、メールがきたんだ。」
って言って、美咲からのメールを見せた
「俺が知らない間にそんなことになってたんだ。あんな奴らのこと気にするな。俺がついてる……から。」
「そうだよね……」
「奈緖ちゃん、これから時間ある?」
「なんでですか?」
「みんなで花見しない?」
「そうなんだ。それなら、行くよ」

そんな話をしながらマルの友達の俊一くんの彼女の美月ちゃんと花見をした。ジュースとお菓子を買って……

楽しい会話……イヤなこと忘れられた。

2人とは別れて、マルと帰った。

「気分転換にはなった?」
「うん……ありがとう」
みんな、優しいね。

いつも助けてくれるのは、マルだった。

他の人なんかといないで
もっと私といてよ……

ねぇ……離れていかないでよ……
私にはあなたが必要なの……

彼女のことが頭から離れない
彼女のことが気になり眠れずに過ごす夜
拭いきれない不安
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急に奈緖が離れていった。春休みも全然会わなかった。なんで?私、何かした?入学式、ヒロとは同じクラスになれたけど、奈緖とは離れてしまった。でも、休み時間は一緒だよね?

次の日ヒロと話ながら、奈緖がくるのを待っていた。だけど、奈緖がくることはなかった……

そして、放課後……奈緖のクラスに行った。ヒロの部活が終わるのを待って一緒に帰るんだと思っていた。
「奈緖、ヒロの部活終わるの待って、一緒に帰るんでしょ?」
「彩花は待っていてあげれば?私は先に帰るから……じゃーね。」
「奈緖、待たない……の?」
「奈緖ちゃん、もう帰る?」
「あ、うん、帰る。彩花……じゃーね」
「奈緖……」

教室に戻った。たった1人で、ヒロを待っていた。

帰りは、いつものような楽しい雰囲気はない。流れる沈黙……奈緖がいないとダメなんだよ。

なんで奈緖の隣にいるのは、私とヒロじゃないの?私はなんのために、奈緖と同じ高校にきたの?明日は……話せる……よね?

彼女に振り回される

分かってたけど
勝手すぎてたまについていけなくなる

お前以外考えられないよ
これ以上ないくらい好きだ
どんなお前だって愛おしい
守ってあげたくなる
お前の近くにいたかった

幼なじみの境界線を越えたかった
でも超えられないまま
お前は他のヤツに恋していた

一度は諦めた
でもお前は失恋した
まだチャンスはある?
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サッカーの強豪校をすすめられたけど、奈緖をおいかけて、この高校にきた。

本当は中学の卒業式のあと告白するつもりだったけど、その前に奈緖が大地にふられていた。告白できないまま高校に入学。

いつか、幼なじみの境界線を超えて……

残念ながら、奈緖と同じクラスになれなかった。それでも、奈緖が休み時間に遊びにきてくれると信じていた。でも、奈緖が遊びにきてくれることはなかった。

サッカーの部活の終わるのを待ってくれてると思っていた。中学の時みたいに……だけど、彩花しかいなかったんだ。彩花に聞くと、奈緖はもう帰っていた。朝も朝練があるから、一緒になることはない。朝練が終わった後、教室に向かってると……2人で仲良く歩いてる奈緖と知らない子をみかけた。絶対に俺に気づいたはずなのに、挨拶することもなく、俺の前を素通りしていく2人……まるで、俺なんて知らない……って感じで……2人を追いかけて、「無視すんな……バーカ」ちょっとおちゃらけて言った「あ、弘人くんおはよう……」と言った奈緖……よそよそしい……そして、今までのようにヒロと呼ばなかった。呆然とそているうちに、2人は去っていった。大好きなふわりとした笑顔もなかった……

もう……俺のことしか考えられないくらいめちゃくちゃ強く強く抱きしめたら……無理矢理にでも……なんて、こんなに好きな奈緖にそんなことできねぇ……

そして、奈緖と話せないまま……時間だけが過ぎていく