駅前の人混みの中。


1人の男がこっちを見ていた。


俺はその男がすぐに誰だかわかった。


「元気そうやん、祐くん。」


その声にも聞き覚えがあった。


…それは間違いなく、渓だった。


「ねぇ、だれこの人?」


彼女がわざとらしく腕を組んでくる。


それを見て渓は訝しんだ。


俺はすかさずその手を振り切った。


「元気してるかな〜って思って来てみたけど。そんな必要なかったみたいやな。こっち来て新しい彼女とデート?ちょっとがっかりやわ。」


「渓っ、ちがう。これは…」