「また何かあったら言ってね。僕がまたおい返してやる」


はい、と言って差し出された手は、
幼いながらもしっかりした手で
私のことを包み込んでくれるようだった。


その後、いじめっ子たちが落としていったノートを拾い上げると、パンパンと砂をはたいて私に返してくれた。



「そういえば、きみの名前、なんだっけ?」


「真琴。波﨑真琴。」


「真琴ちゃんか〜、かわいい名前だね。僕は宮野祐。」


「祐くんこそ、かっこいいじゃん」


二人揃って微笑みながら、歩いて帰ったことは今でも忘れられない。