<祐side>


ある日の昼休み。


真剣な顔つきをした渓が教室に入ってきて、俺の方へ向かって歩いてきた。


俺はすかさず、かまえた。


「祐くん。転校するって、ほんま?」


なにを言われるのかとビクビクしていたのとはうらはらに、引っ越しの話だった。


「ああ、ほんとだよ。転校って言っても、高校だからみんな別々だけどね。」


「でもこの辺じゃ桜木高校しかないって。」


渓の顔は物言いたげだった。


「まあ、そうだけどね。」