そう思っていたら、初めての活動の日に渓くんがキーボードとドラムができる人を連れて来てくれた。
「天国に向かって届けたい歌がある」
そう言ったら断ることは全くできなかったみたいで。
なんだか少し強引すぎた気もするけど、結構乗り気でやってくれるみたいだし結果オーライ。
「3ヶ月後の大舞台まで、このメンバーで最高の舞台をつくれるように頑張ろう!」
私がリーダーとなって結成された『ALWAYS』というバンドは、とても活気よく活動を始めた。
メンバーの中で未経験なのは渓くんだけで。
「このコードどーやって弾くん?」
初めのうちはかなりお手上げ状態だった。
でも、渓くんは根気よくやってくれるから、2ヶ月経つうちには経験者並みに弾けるようになっていた。
ほんと、恵まれてるなぁ。
祐のことがあってからなおそう思っていたけど、初めて知り合う人でもこんなに打ち解けて、手伝ってくれて、ますます私って恵まれてるんだって思うようになった。