祐が亡くなった今、病室は静かな空気が流れる。


ずっと祐の手を握りしめて泣くお母さん。


うつむいたままひそひそと泣く渓くん。


耐えきれなくなって病室から出ていった柚美ちゃん。


途方にくれ、泣き疲れた私。


重たい空気の中で、口を開いたのは祐のお母さんだった。


「…ねぇ、真琴ちゃん。真琴ちゃんに渡さなきゃいけないものがあるの」


そう言って渡されたのは、少し分厚い封筒。


「…祐がね、もし俺が死んだら渡してくれって…」


泣き顔のまま優しく微笑むお母さんは、本当にすごい人だった。


愛する息子をなくしても、息子との約束は守る。


…だから私も、守るよ。


どんなに離れてたって、どこにいたって、私はずっと祐と一緒にいる。


…祐の心にいつだって寄り添ってる。