「でも、そんなことしたら…」


私の声をよそに、看護師さんはゆっくりマスクを外した。


「………ま、…こと……」


久しぶりに聞く、実物の声。


なににも邪魔されない、本物の祐の声。


相変わらず泣き続ける私をなだめるように、祐の手が私をめがけて伸びてくる。


すかさず、私は祐の手を握った。


「……俺…しあわせ……だよ…」


「祐、そんなこと言わないで…」


「来てくれて…あり、…が…と」


「祐のためなら何回だってくるよ。何百回何千回だって…!」


「…ずっと……いっしょ…に……」


握っている祐の手の力が少しずつ抜けていく。