「それが、やっと渓くんに話せたってことか」
「まあ、そんなとこやな。あっ、空港のアナウンス流れてるで。もうそろそろ搭乗の時間とちゃうか」
時計を見ると、12時をまわったところだった。
飛行機に乗り込んで席に着くと、夜しっかり寝たはずなのにまた睡魔が襲ってきて、瞬時に寝てしまってそこから記憶がない。
ただ、なにか夢を見ていた気がする。
誰かが、俺のことを好きになれって言っていた夢。
ただの夢だから現実性はないんだけど、なんとなくどこか気になるところがあった。
その声を、知っているような気がした。
帰宅すると、母が玄関に迎えでた。