「ん、じゃあラッコプールに行きたいかな」
「よし、じゃあラッコみにいこ!」
渓くんは取り仕切るようにそういうと、『はよ行こ〜』と言って子どものように無邪気に走って行ってしまった。
柚美ちゃんと二人、目を合わせて笑う。
本当に渓くんは、不思議な力をもった人だ。
私たちも遅れまいと、後を追って走る。
「わ〜!ラッコだぁ〜。プカプカ浮いてるよ!!」
柚美ちゃんは目をキラキラと光らせて見ている。
渓くんも、それをみて微笑む。
…私は一人、少し離れたベンチに腰を下ろす。
でも、柚美ちゃんと渓くんはラッコに夢中で気がついていないようだった。