先生に誘導され、雄斗くんは、お兄ちゃんはみんなに別れの挨拶をした。
女子はせっかくのイケメンがいなくなってしまうといった損失の方が大きいようで、中には泣いている人もいた。
結局お兄ちゃんは5歳年上ということは黙ったまま出て行くことになる。
まあ、知ったところで誰得の話なので言うつもりもない。
…明日から、いや、この町を抜けたら、お兄ちゃんは仁志 雄斗ではなく於島 雄斗になる。
ふたたび、新しい一歩を歩みだすんだ。
…少しさみしい気持ちがある。
でも、本当だったら出会うことすらなかったかもしれない。
お兄ちゃんがいる、そのこと自体がわからなかったかもしれないんだ。