そう私が言うと、お兄ちゃんは少し驚いた顔をした。


でも、すぐにいつもの笑顔に戻って、


「真琴が教えてくれたから。今の両親

だって、僕のことをここまで育ててき

てくれた。どのようにして注いでいい

かわからない愛を注ぎ続けてくれてい

たんだ。でも、僕はそんなことに目も

くれやしなかった。ほんと、親不孝だ

よね。だから、僕はせめてもの気持ち

で一生懸命、父の会社を継ごうと思う

。財産狙いなんかじゃないよ。もし、

父が僕を許してくれるなら、僕はそう

して親孝行をしたい」