そのメールを見た時、俺の中の時間はストップした。
この画面の中には、俺の知らない真琴がいる。
知らない間に、とても成長した真琴がいる。
少し、いやだいぶと悔しかった。
俺の知らない真琴を、渓は知っている。
昔なら真琴はきっと、ずっと動揺して母親に泣きちらして無理に説明させようとするだろう。
『どうして黙ってたの。』
『お兄ちゃんなんて信じられない。私にはお兄ちゃんなんていないよ』って。
でも、冷静になって受け入れようとするには他でもない、渓の存在がそうさせてるんだ。
ますます俺は無力感に苛まれる。