それからしばらくの沈黙が続いた後、この話し合いはお開きになった。


雄斗くんは、いや、お兄ちゃんはもう帰るにも遅いので、今夜は泊まっていくことになった。


寝る場所とはいっても私の部屋しかないので、私の部屋に二人上がった。



「…私に、お兄ちゃんがいたなんてびっくりだよ」


「僕も、知らなかった。先生に聞かなかったら顔も名前もわからなかった」


「ああ、だから初めて会った時に名前言われたんだ〜。でも、どうしてあんなこと言ったの?」



「あの台詞はくさいから忘れてよ。真琴に、近づくためにって言ったら言葉が悪いけど。少しは意識してほしかったんだ。でも、こんなに早く話すつもりじゃなかった」



「なるほど、お兄ちゃんがあんな人間じゃないってわかってちょっとほっとしたよ」