「…噂をすれば。」


渓くんは得意げな顔をしてみせた。


祐がやってきたんだ。


「もういい。行こう」


美人3人組は、少し駆け足で去っていった。


「真琴、大丈夫か?なにがあった?」


祐が心配そうに覗き込んできた。


「ちょっとね。でももう、大丈夫。はあぁ、怖かったぁ。」


緊張からの追放に、思わず私はしゃがみこんでしまった。


「そっか。あんま、無理すんなよ。」


祐の大きな手のひらが、私の頭にのせられた。


こんな時でさえ私はキュンとしてしまうのだから、よほど祐中毒なのかもしれない。