「必ず、陛下の側室になるのよ! 何のために綺麗に産んであげたと思ってるの!?
その顔も、身体も、すべてを利用しなさい!!
あなたは誉の雫を受け継いだ、ノースヴァン家の姫なのよ!
アクセス家のカザリナに負けることは許しません!!
それから―……」

喚くユースリアを無視して、シリアは馬車に乗り込んだ。

「出しなさい」

淡々と御者に告げると、彼はユースリアに怯えつつも馬車を走らせた。



道は舗装されており、カタカタと細かな振動が伝わってくる。

ようやく静かになり、シリアはゆっくりと目を閉じた。

脳裏に映し出されるのは、行方の知れぬ姉、ジュリアの姿。