「やった~伊織君が返事してくれた!!
またねだって」
返事をしてくれたのが
嬉しくて仕方がない心愛は、大はしゃぎする。
それを見ながら父さんは、クスクスと笑った。
「良かったね。これは、いい方向かもな。
彼の中で少しずつだが
変化が起きているのかもしれないな」
アイツの中に変化が……?
それが、いい事なのか悪い事なのか
僕には、分からない。
でも、僕達の中で……何かが変わろうとしている。
それは、確かに感じた。
翌日。
学校に行くと伊織は、読書をしながら歩いていた。
「伊織く~ん。おはよ~う」
心愛が嬉しそうに呼び掛けた。
すると無視して通り過ぎてしまう。
目線すら合わせずに……。
やっぱり。こいつは、
何も変わっていないような気がする。