伊織は、黙ったままおじさんの前に立った。

「……じゃあ、始めるよ?」

そう言うと伊織は、目を閉じて
意識を集中させる。

すると僕の目には、見えた。
白虎の門が静かに開かれるのが……。

これが、白虎の門!?

朱雀の門は、赤い色の扉だが
白虎の門は、白い扉だった。

目を開けた伊織は、静かに手を差し出した。

「門は、開かれた。
死者は、我の手を……」

吸い寄せられるようにおじさんは、
その手を重ねる。

すると姿が消えていった。

無事に成仏が出来た。

白虎の門の扉は、静かに閉じていく。