「俺には……その気持ちが分からない。
ずっと……1人だったから」

切なそうな表情をする伊織。

「最初は、皆そうさ。
分からないのは、当然だ。だから
人と関わり学んでいくんだ。
相手の気持ちを理解するためにもね」

「大丈夫。君にも出来るさ。
心愛達が居る。これからもたくさんの人に
出会い少しずつでも理解していけばいい」

そう言うと伊織の頭を撫でてあげる父さん。
すると周りは、たくさんの拍手をされる。

披露宴も大詰めを迎えていた。

最後に幽霊のおじさんの娘さんが
両親に宛てて感謝の手紙を読むことに。

これが終われば、おじさんは、
安心して成仏が出来るだろう。

「今日は、私達のために結婚式に出席して下さり
ありがとうございました。
両親の手紙を読む前に私の父は、式の前に
交通事故で亡くなりました。
本当なら父にも出席して欲しかったので
とても残念に思っています」

「でも……あそこに居る住職様のお陰で
私は、父にも式を見せてあげる事が出来ます!
最初は、信じられなかったけど
不思議な力を目の前で見て、信じることが出来ました。
その人の力を借りて私は、両親に
お礼を伝えたいと思います」