幽霊は、身体が抜けるため食べられないが
霊力を入れることで抜けずに食べられる。

大翔君の口に入っていく。

『美味しい……』

「それは、良かった。
もう一口食べるかい?」

さすが父さん。
お寺の住職でもあるから幽霊と子供の扱いには慣れている。

食べ終わり大翔君のお母さんを捜しに
行く時、こっそり父さんに尋ねてみた。

「父さん……いいの?
その子……お母さんに会わせて」

すぐにお別れになるのに……。

「お別れは、寂しいけどだからこそ会わすべきだ。
最期のお別れだからこそ
自分の気持ちを伝えて前に進むべきなんだよ!
後悔しないように……」

切なそうに笑うと僕の頭を撫でてくれた。

最期のお別れか……。

心愛は、感情豊かだからいいが
僕は、その辺の感情が薄い。

そういうものなのかなぁ……?

事故現場の近くに行くと
大翔君のお母さんが必死になって捜していた。