「心愛。大翔君だよ!そう。
どうやらお母さんとはぐれちゃったみたいでね。
お母さんを成仏させた後に
大翔君をお父さんのところに戻してあげようと思ってね。
幽体離脱しただけで死んだ訳ではないし」
父さんは、大翔君のお母さんを
成仏させる気らしい。
「幽体離脱って、あれですか?
生きてる時に魂と身体が離れてしまうと言う」
「そうそう。大翔君は、重体だがまだ寿命はある。
だけど事故の勢いで魂が身体から離れてしまったんだ。
今ならまだ、もとに戻せる」
父さんが母さんに詳しく説明してくれた。
ちなみに母さんには、霊感がない。
だから大翔君の存在には気づかない。
「そうなのですか……」
複雑そうな表情を見せる母さん。
母さんは、こういう話……苦手だから。
「焼き芋焼けたよ~」
心愛が、焼けた焼き芋ををトングで持つと
元気よくブンブンと振り回した。
「あらあら。心愛ったら
トングを振り回したらダメでしょ!?」
慌てて止める母さん。
「え~キャハハッ……」
まったく……と呆れつつ父さんを見ると
焼き芋を自分の力で大翔君にも食べやすいようにすると
食べさせてあげた。