記憶を辿ると母親と車で買い物に行く途中に
暴走した車に巻き込まれたらしい。
母親は、死亡。
この子は、幽体離脱をしてしまったが
まだ本体は、生きている。
だが今日中に本体に魂を戻さないと
亡くなってしまうだろう。
『おじちゃん……ママは?
ママとはぐれちゃったの……』
泣きながら必死に訴えかけてくる。
自分は、幽体離脱していることを分かっていない。
そして母親は、亡くなってしまったことも。
ただ母親も亡くなったことは、理解しても
離れ離れになった子供を捜していた。
事故現場で離れてしまったから……。
引き合わせることも出来るが
すぐにお別れになるだろう。
すると父さんは、ニコッと笑った。
「大丈夫。俺がママに会わせてあげよう。
パパにも会いたいだろうしね」
いいのだろうか?
すぐにお別れになってしまうのに……。
『本当?おじちゃん……』
男の子は、嬉しそうに笑った。