「心愛。見つかると怒られるよ?」

「大丈夫。見つからないようにするから
お兄ちゃん。これ持ってて」

そう言うと父さんから貰った首飾りの
数珠を勝手に外してしまう。

「……まったく」

呆れながら数珠を受け取ると心愛は、
女子トイレに入っていく。

中に入るとすぐさま
3番目のトイレのドアを思いっきり開けた。

「おはよ~う。恭子ちゃん」

「だから恭子ではなくて花子だって
いつも言ってるでしょーが!!」

すぐさまツッコミを入れたのは、
トイレに住み着いている花子さんだ。

学校の怪談に出てくる
トイレの花子さんと言えば分かるだろう。

「アハハッ……そうだっけ?」

「アハハッじゃないわよ。まったく。
いつもいつも会いに来て……迷惑なのよ!」

「え~いいじゃん。友達でしょ?
心愛と理香子ちゃんは」