そして左右の手を繋いだまま片方の手を
大翔君のお母さんに差し出した。

『朱雀門が開かれた。死者は……我の手に』

声を揃えて言った。

今、死者の門『朱雀門』の扉が開かれた。

死者の門とは、現世とあの世を繋ぐ門のことだ。
ここを通れば、あの世に行くことが出来る。

他にも『青龍門』、『白虎門』
『玄武門』の全部で4つ存在する。

それぞれ鍵となる番人が居るのだが
僕と心愛は、その1つ『朱雀門』の番人だ。

門は、番人にしか開けられない。
そして双子として力を合わせないとならない。

『はい……』

大翔君のお母さんは、吸い寄せられるように
手を伸ばした。

『ママ……』

泣きながら母親の名を呼ぶ大翔君。

するとハッと思ったのか大翔君の方を向いた。

『ごめんね……大翔。
ママの分まで幸せになってね
パパにも“ありがとう”って伝えておいてね』