遠くで廊下を歩く足音。 ドアが開く音。 教室から聞こえる友達の声。 そして電話越しに聞こえる生活音。 目を閉じた事で龍也と 一緒に過ごしている様な錯覚におちいる。 けれど一向に龍也の声が聞こえない。 「龍也……?まだ目開けちゃダメなの?」 『え、あ、まだ開けんなよ!』 再び耳を澄ますと、 龍也が2回咳払いをしてから、 ちゅ、と音がした。 私は驚いて目を見開いて、 みるみる熱を持つ顔に右手をあてた。 「え…あ……。」